森
“木の皮をペリペリと剥ぐ感覚を体験して!森の中を一緒に歩きましょう!”
滋賀県出身。高校卒業後、上京し、映画制作の道へ。その後、9.11テロをきっかけに、社会問題に興味を持つように。環境運動やスロービジネスに取り組むNGOで活動をしたのち、2011年に糸島に移住した。現在、森づくりと東アジア交流を目的とした「NPO法人いとなみ」の代表をつとめる。
森づくりを通して、森と人間の関係性を考える
最近、サステナブル(持続可能)からリジェネラティブ(環境再生)へ、と言われています。持続可能は、端的に言えば一年間で生成される自然資源の範囲の使用に留めるということだと思いますが、環境再生は、自然資源を生み出す大元の森や土壌をより豊かにすることで、一年間で生成される自然資源の総量をあげるということだと思っています。
糸島でも、その環境再生型の森林農業のモデルづくりに取り組んでいます。その方法は大きく分けて2つあり、ひとつは、「のこぎりを使わない間伐体験」で森に手を加えることで自然林を復活させ、水源を保護し、野生動物のすみかをつくるという流れで、これは今10年目です。
もうひとつは、食べられる森づくり(food forest)です。耕作放棄地になっている果樹園で、無農薬・無肥料の果樹を収穫しながら、剪定によって、果樹を減らし、果樹以外の植生を生かすことで、耕作放棄地の解消と、森の再生と、蜜源の確保と、生物多様性の保護をすべて同時にやってしまおうという取り組みです。
森の変化は木の成長速度と同じペースですが、10年たった近年は植生の復活が目で見て感じられるようになってきています。みなさんと長く取り組めると幸いです。