第1回:手放すことでラクとエコを手に入れた私の話

※ 全4話の 1話目

私たちの住む集落

こんにちは。糸島で「食べもの・お金・エネルギー」をつくる“いとしまシェアハウス”を運営する畠山千春です。

海が見える美しい棚田の集落に移住してきたのは2013年。東日本大震災を関東で経験し、計画停電で電気が来ない、買い占めで食べるものがない、そんな状況を目の当たりにしたことから『暮らしを自分たちの手で作ろう』と古民家シェアハウスをスタートさせました。

きっかけは震災でしたが、この暮らしを11年続けているのはやっぱり“楽しい”から!お米が作れるようになったときも、初めて狩猟をしたときも、野草を摘んで食べたときも、「自分でできた!」という喜びがありました。それは、「買った」ものでは得られない達成感や自信でした。

この連載では「地球に優しい暮らしをしてみたいけど、何から始めていいかわからない」という方のために、いとしまシェアハウスから簡単に挑戦できる「自然に寄り添う暮らしのヒント」をお届けしたいと思います。

洗剤やシャンプーなしで快適に暮らすコツ

庭のあちこちで水を飲む我が家の鶏たち

我が家には、水道と下水道がありません。だから、毎日使うのは山の湧水。生活排水はそのまま畑や田んぼに流れ出し、私たちはそのお米や野菜を食べることになります。ここは自分たちがしたことがダイレクトに返ってくる場所。だからこそ、「環境に悪いものを使わない」のは、“自然のため”ではなく“自分たちのため”なのです。

こういった背景もあり、日常生活では「自分たちが口に入れたら嫌なものはなるべく使わない」をポリシーに、自然環境に悪影響がない製品を選んで使っています。

へちまたわしでお皿を洗います。

(1)食器用洗剤のかわりに使っているもの

食器洗いに使うのはへちまたわし。青空たすきのキットにも入っています!へちまの繊維だけでできているので、使用後は畑に埋めると分解されます。野菜や魚がメインの我が家の食事なら、洗剤なしで9割の汚れが落ちます。

残りの1割は、お肉料理などの脂っこい汚れ。この汚れには米ぬかが効果的。米ぬかを汚れ部分にこすりつけ油分を染み込ませてからお湯で洗うと、お皿がすっきりピカピカ。

へちまたわし&米ぬかは、手も荒れないし、洗剤を買うお金も節約できるので「洗剤を変えてみたい」という方にぜひおすすめしたいアイテムです!

(2)洗濯用洗剤のかわりに使っているもの

洗濯には、灰から作った洗剤を使います。材料は“木灰と水”ととてもシンプル。灰洗剤も、青空たすきのキットに入っています。

灰は、紀元前から使われていた世界最古の洗剤。我が家では薪ストーブやピザ窯などで燃やした木の灰を使っています。強アルカリ性なので、洗濯には大さじ1杯程度で十分。シンクのお掃除や食器洗いに使うこともあります。

また、ガスコンロ周りの油汚れにも絶大の効果あり。原液を薄めず吹きかけてしばらく置くと油が剥がれて浮き上がってきます。さっと拭き取れば完了!簡単です。(手荒れを防ぐため、高濃度の灰洗剤を使うときはゴム手袋を使用しています)

ピザ窯の灰を使って洗剤を作ります。

(3)シャンプーやリンスのかわりに使っているもの

実は、お湯だけで髪の毛を洗う「湯シャン」を10年続けています。

お湯だけで汚れが落ちるの?と感じる人もいるかもしれませんが、髪の汚れの約半分はブラッシングで落ちるといわれています。事前に汚れ・抜け毛を除去することで、髪が絡まらず効果的にお湯で汚れが落とせます。

また、シャンプーの種類によっては、必要な皮脂まで洗い流してしまうこともあるため、過剰に皮脂が分泌されて髪がベタつく“悪循環”に陥ってしまうことも。湯シャンなら、頭皮に必要な皮脂や保湿成分が残るので、続けるうちに適度な皮脂が分泌され、頭皮環境が整い髪の毛に栄養が行きわたるといわれています。

シャンプー代を節約できるのはもちろん、旅行先などで「いつものシャンプー忘れた!」と慌てることもなく、少ない荷物で旅に出かけられちゃいます。

蜜蝋ラップ&シリコンラップで脱ラップ生活

ミツロウラップの原料は、蜂の巣から

毎年、約3億トンも排出されるプラスチックごみ(※1)。分解されるまで数百年〜数千年かかるといわれており、2050年には海のプラスチックごみが魚の量を上回るという予測もされています。そんな中、日本は1人当たりのプラスチックごみ排出量が世界ワースト2位(2014年)(※2)。日々のプラスチックゴミを少しでも減らすべく、我が家では、ラップの代替えとして布に蜜蝋と植物性油脂を染み込ませた“ミツロウラップ”を使っています。

これは繰り返し使えるラップのようなもので、食器に蓋をしたり、使いかけの野菜を包んだり、お気に入りの布で作ればキッチンが華やかになります。定期的にラップを買わなくて済むので経済的、ゴミも減ってストレスフリーです。

※1:OECD(経済協力開発機構)2018年5月発表資料「Improving Markets for Recycled Plastics Trends, Prospects and Policy Responses」

※2:UNEP国連環境計画の2018年 年次報告書 “Single-use Plastics: A roadmap for Sustainability.”

ミツロウラップで野菜を包む

蜂の巣からできるミツロウは天然の抗菌作用があり、食材を長持ちさせてくれるといわれています。洗って干せば数年使え、メンテナンスすれば復活するのも嬉しいポイント。手の熱で形を整えればどんな形の容器にもフィットします。

デメリットとしては「中身が見えない」こと。つい使い忘れて、蓋を開けたらカビちゃった!ということもしばしば。また、蜜蝋が溶けてしまうのでお湯で洗うのはNG。そのため、生肉や生魚などには使用できません。酸性の強いものにも使えません。

そこで活躍するのが、繰り返し使えるシリコンラップ。よく伸びる上に透明で中身が見え、熱湯で洗うのも洗剤を使うのもOK。とっても便利です。脱ラップしたい人は、まずシリコンラップからスタートしてみることをオススメします。

なくってもなんとかなる!が体験できる暮らし

仲間たちと棚田でお米づくり

移住してきたばかりの頃は、「ラップを使わないなんて不便」「洗剤なしでお皿洗いなんて無理」と思っていた時期もありました。ですが、一度スタートしてしまえば意外となんとかなってしまうもの。それどころか、買い物が減って節約に&必要なものが少なくなってとっても身軽になれました!そして結果的に、地球にも優しくなれちゃいました。

今まで絶対に必要と思っていたものを思い切って手放してみると、目の前に新しい世界が広がります。「自分でもできた!」というキラキラとした気持ちが、私たちに小さな自信をくれるのです。そしてその気持ちが原動力になり、「次は何に挑戦してみようかな?」とワクワクしてくるのです。

記事の中で、何か試してみたいものはありましたか?気になるものがあれば、今日から小さくチャレンジしてみてもらえたら嬉しいです。糸島から応援しています!


三ツ矢青空たすき編集部より:ちはるさんが記事中で紹介されていた、灰から作る洗剤は、現在、動画視聴体験「いとしまシェアハウスに学ぶ。自分たちでつくり、“シェア”する暮らし」でも体験することができます。ちはるさんのナチュラルライフものぞけます。気になった方はぜひご覧ください。

ttps://mitsuya-aozoratasuki.asahiinryo.co.jp/exp/2017/

第2回:甘夏シロップに新茶作り…初夏の手仕事

語り部一覧

いとしまシェアハウス /
畠山千春さん・志田 浩一さん
いとしまシェアハウスは、「食べ物・お金・エネルギーを自分たちでつくる」をコンセプトにした、自然とつながるシェアハウスです。棚田に囲まれた集落の中で、田んぼや畑・猟を行い、築80年の古民家を改修しながら、様々な個性を持つ男女が共に暮らしています。
ここでは、体験したこと、つくり出したものをたくさんの人たちと“シェア”する暮らしの実験を行っています。

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