第2回:甘夏シロップに新茶作り…初夏の手仕事

※ 全4話の 2話目

こんにちは。福岡県糸島市で「食べもの・お金・エネルギー」をつくる“いとしまシェアハウス”の畠山千春です。

糸島は新緑がまぶしい季節になりました。長い冬を終え、果実が実る季節になると田舎暮らしも手仕事で忙しくなってきます。今回は甘夏レシピや新茶摘みなど、初夏の糸島の暮らしをお伝えしていきますね。

甘夏でつくるスパイスジャム!

集落には甘夏畑がたくさんあるので、甘夏が完熟する5月に毎年収穫イベントを企画しています。そのときは、たっぷり収穫した甘夏を皮から果肉、種まで余すことなく使ってもらえるようにオリジナルの甘夏レシピを紹介しています。

私のお気に入りは、甘夏のスパイスジャム。ブラックペッパー、コリアンダーシード、カルダモンなどをお好みで数粒混ぜるだけで、お洒落な味にランクアップします。パンに塗るのはもちろん、ヨーグルトにかけても、お酢と割って飲んでも美味しいです。どんな柑橘でも作れるので、いろいろアレンジして楽しんでみてくださいね。

簡単レシピはこちら!

<用意するもの>

・甘夏(どんな柑橘でもOK)
・きび砂糖(甘夏と同量)
・スパイス(お好みのスパイスでどうぞ!)
・瓶

<作りかた>

(1)皮をむいて房から果実を取り出す
(2)瓶を熱湯消毒する
(3)スパイスをビンの一番下に入れ、甘夏の実→砂糖→甘夏の実→砂糖という順番に繰り返し入れる
(4)砂糖が溶け出し、スパイスの風味が出たら果実を取り出して液体と分ける。ここでシロップの完成!(3日〜1週間程度)
(5)取り出した果実とスパイスを鍋で煮れば、ジャムの出来上がり!
※作っている途中で泡立ってきたら、冷蔵庫に移して保存してください。

皮を洗剤に、種は化粧水に!

甘夏をたくさん収穫したときに、余ってしまいがちなのが甘夏の皮。ただ、皮には“リモネン”という汚れを落としてくれる成分が豊富に含まれているので、洗剤作りにぴったりです。

作りかたは、甘夏の皮が浸るくらいの水を入れて20分煮るだけ。液体をスプレーに入れて使用します。冷蔵庫で保存し、2週間ほどで使い切ってください。油汚れやシンクの汚れを落としてくれるうえに香りも良いので、キッチンで重宝します。

また、私がこっそり楽しみにしているのが甘夏の種を使った化粧水作り。種には強い保湿力のある成分“ペクチン”が含まれているので、肌をしっとりさせてくれます。

作りかたは、種を瓶に入れ、2〜3倍の米焼酎かホワイトリカーを入れます。一日一回混ぜながら、冷蔵庫で一週間ほど寝かせてとろみが出たら完成!種を取り出して液体だけで使用します。

添加物の入っていないナチュラルな化粧水は、トロッとしたテクスチャーが肌に吸い付き、気持ち良い使い心地です。保存料が入っていないので、冷蔵庫で保存し1ヶ月ほどで使い切るのがおすすめ。アルコールがベースなので、肌の弱い方は水を加えるなどしてご使用ください。

このレシピはいろんな柑橘の種で試せるので、手元に柑橘の種がある方は捨てずに実験してみてくださいね。

八十八夜に手摘み新茶をつくる!

「夏も近づく八十八夜♪」で有名な歌“茶摘み”にもあるように、八十八夜はお茶の新芽が出始める季節のこと。その年最初に芽吹いた新芽は栄養価が高く、不老長寿の縁起物とされてきました。我が家でも昔ながらのお茶作りにならい、毎年このタイミングでお茶摘みをします。

日本で飲まれているお茶は、茶葉を蒸して乾燥させた〈蒸し茶〉が主流ですが、九州のこの辺りで作られるお茶は〈釜炒り茶〉といわれ、茶葉を釜で直接炒り乾燥させる珍しい製法です。

お茶作りはご近所さんに教わったのですが、この辺りはお茶の木を「垣根」として植えているお家が多かったのだとか。お隣との敷地の境目にお茶の木を植えて目隠しにしつつ、新茶の季節になると若葉を摘んでお茶を作る。“お茶作り”はもっと暮らしに密着したものだったのですね。そのため、集落を散歩していると石垣の隙間や駐車場の裏など、すごいところにお茶の木が生えていたりするのです。

きっと「そのお家ならではのお茶の味」があって、「あのおうちのお茶は美味しい」みたいなお茶文化があったんじゃないかな?と思います。なんだか手前味噌(※)みたいですね。

※編集部注:「手前味噌」今日では自分で自分をほめるときに使いますが、ここでは、「手前味噌」という言葉が自家製の味噌を互いに自慢しあったことから生まれた言葉の由来の方をさしています。

お茶摘みは、お茶の木の先端にある新芽とその下の2枚の葉を摘み採る「一芯二葉」で手摘みします。この部分は柔らかく旨味成分を多く含むので、高級茶の原料として使用されているのだとか。高級素材をたっぷり使った自家製のお茶と考えると、なんだかリッチな気持ちになってきます。

我が家では大きな鉄鍋で若葉を炒り、柔らかくなったお茶の葉をゴザに広げ、手で揉んでエキスを抽出しながら香りを閉じ込めていきます。冷めるとお茶のエキスが出にくいので、熱々のうちにお茶の葉をよるようにして揉んでいきます。

お茶の葉の温度を把握するため素手でお茶を炒るのですが、それが本当に熱い!けれど、温まった若葉から立ち上る強いお茶の香りに包まれると、すごく幸せな気持ちになります。これを何度か繰り返してお茶の葉が上手に丸まったら陰干しで乾燥、水分が飛んで香りが濃縮されたら完成です。

力強く上品な香りとまろやかな甘味のお茶が出来上がって大満足。温かくして飲んでも、夏の暑い日には水出し茶にもおすすめです!

※ご自宅で試される方はやけどには充分注意し、直接鍋にふれたり、無理に高温になった葉っぱに触れることのないようご注意ください。

そして、お茶摘みの日にしか楽しめない特別な料理が「お茶の若葉の天ぷら」。お茶の新芽は柔らかく苦味が少ないため、天ぷらにすると絶品!お塩と一緒にいただくと、ほろ苦さがアクセントになってとても美味しいのです。お茶作りの合間に食べる、贅沢な一品です。

夏が待ち遠しくなる手仕事

爽やかな甘さの甘夏シロップも、すっきりした飲み心地のお茶も、実は夏に重宝する飲み物。熱さで食欲が落ちたとき、畑仕事で汗をかいたとき、エネルギー満タンにしてくれる飲み物たちを今のうちに作っておいて、夏にありがたくいただくのです。

次の季節の準備は、田舎暮らしでは大切な仕事の一つ。今年の夏を楽しく過ごせるよう、今年も美味しい飲み物をたくさん仕込みました。このドリンクたちと一緒に海に行こうか、山を散歩しようか。夏が来るのが楽しみです!


三ツ矢青空たすき編集部より:千春さんやいとしまシェアハウスの皆さんの楽しそうな声が聞こえてくるような気がする今回のお写真とエッセイでした。季節ごとの自然の恵みを余すことなく活用し、自分の手でくらしの豊かさをつむいでいる千春さん、都市に住んでいると出来上がったものを消費することが多い私たちも、レシピなど参考に何か自分の手で作る楽しさ・豊かさを感じたいですね。

三ツ矢青空たすきでもそんなきっかけになる体験をどんどん提供していきますよ!

千春さんの八十八夜のお茶摘みのエピソードを読みながら、四季のある日本に住んでいるのだから、「二十四節季」など伝統的な暦の意味を改めて見直し、季節の変化を五感で感じながら丁寧に日々をすごしたいなと感じました。

いとしまシェアハウスさんでも季節のワークショップをされているので、良かったらWEBサイトをのぞいてみてくださいね。

http://itsmsh.com/

第1回:手放すことでラクとエコを手に入れた私の話

語り部一覧

いとしまシェアハウス /
畠山千春さん・志田 浩一さん
いとしまシェアハウスは、「食べ物・お金・エネルギーを自分たちでつくる」をコンセプトにした、自然とつながるシェアハウスです。棚田に囲まれた集落の中で、田んぼや畑・猟を行い、築80年の古民家を改修しながら、様々な個性を持つ男女が共に暮らしています。
ここでは、体験したこと、つくり出したものをたくさんの人たちと”シェア”する暮らしの実験を行っています。

みんなの感想

  • ノースアイランドひろころさん

    これまたエコ

    化粧品や洗剤にもなり、生ゴミの量減少することに、二重の意味でエコ‼️😊

    • 三ツ矢青空たすきスタッフ

      ご感想 ありがとうございます! 自然の恵みを余さず使える方法を知ると、気持ちも豊かになりますね!

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