ビーチクリーンも海レジャー!環境問題を“自分サイズ”で考える「くらげれんごう」#1

※ 全2話の 1話目

「海であそび・海でまなび・海をまもる」をコンセプトに、海での楽しい体験イベントの開催やワクワクする環境教育を小学校で行うなどの活動をする「くらげれんごう」。福岡県内を中心に、各地で“海を楽しみながら守るイベント”を開催しています。その一つが、「日本一ハードルが低いビーチクリーン」です。大きな課題となっている環境問題ですが、自分サイズに置き換えて、気軽に、楽しみながら少しだけ意識やアクションを変えることができたら…。海を楽しみながら、環境問題について考えている「くらげれんごう」の隊長の山崎唯さん(以下、ゆいさん)にその秘けつを伺いました。

“海狂い”による、海を楽しむスペシャリスト集団!

現在、メンバーは40名ほどのメンバーで活動する「くらげれんごう」の隊長・ゆいさん

「私は好奇心旺盛。その好奇心を常につかんで離さない多様性と、いるだけで安心する包容力が海にはあります」。海の魅力を尋ねると、そう声を弾ませて答えてくれたのは、「くらげれんごう」の隊長・ゆいさん。福岡市から車で40分ほど、福津市にある福間海岸を中心に、福岡市や糸島市などを舞台に活動しています。

「海が好き」。
ただ、その情熱からスタートしたのが「くらげれんごう」です。自身を「海好きを超えた“海狂い”」と称するゆいさん。同じ“海狂い”の仲間と、2019年にYouTubeチャンネルを立ち上げたのが、「くらげれんごう」のはじまりでした。当初は、海の魅力を伝える動画を発信していましたが、2020年、新型コロナウイルス感染症の拡大により転機が訪れます。

「子どもたちの学校が休校になり、私の仕事もお休みになりました。何もできなくなったときに、情熱を100%生きがいの海に向けてみたらどうなるんだろうって」。家から近い福間海岸に通い、子どもたちと遊んでいるうちに、いつしかゆいさんの周りには同じ“海狂い”たちが集まっていたと笑います。

夏は海水浴を楽しむ人々で賑わう福間海岸

「同じ海狂い同士、何かしようよ」。こうして、素潜り教室や生き物観察会など、海を楽しむイベントを開催するように。「そうやって海で遊んでいたら、ゴミが気になるようになって。自分たちの大事な場所を守る形で、自然とゴミ拾いがはじまったんです」。

海を楽しむための「日本一ハードルの低いビーチクリーン」

「日本一ハードルの低いビーチクリーン」の参加者は、さまざま。最近は学生の参加が増えつつあるが、ママ世代が交流しながらゴミを拾う姿も多く見られる

現在、海岸でのゴミ拾いは、月に1回のイベントとして開催しています。それが「日本一ハードルの低いビーチクリーン」。福津市だけでなく、福岡市や糸島市など、福岡県内各地の海で行っています。

「ゴミを拾うためだけに海に来たことがないんです。好きだからこそ、海があったら泳いじゃう(笑)。いつもの海の過ごし方にプラスして、ちょっとだけ拾うっていうスタイル。だから“日本一ハードルの低い”ビーチクリーン。ビーチクリーンだって海レジャーのひとつなんですよ」

とはいえ、ゆいさんと歩いた福間海岸は一見、とてもきれいな白浜。散歩する方や周辺のカフェの方などが、日頃から気になったゴミを拾うことで、美しさが保たれています。でも、しゃがんでよく見ると、そこには色とりどりの小さなプラスチック片が。

取材中も、数分でこれだけの海洋プラスチックゴミが拾えた

これが、近年問題視されている海洋プラスチックゴミです。私たちの暮らしで使われたプラスチックが、さまざまな理由で海に流れ、紫外線でもろくなったり、波によって砕かれたりして、小さな破片となったもの。「くらげれんごう」では、この海洋プラスチックゴミを中心にゴミ拾いを行っています。

小さな海洋プラスチックゴミを手で拾うのは至難。そこで「くらげれんごう」では、専用の道具「くらげ5号」を開発。希望があれば貸し出しも行っている

ビーチクリーンの参加者の中には、「なんでこんなにプラスチックゴミが多いんだろう」と憤る人もいるそう。でも、海に流れ着いたプラスチックゴミの多くは、私たちの生活から生まれたものです。

「海にあるのは、“得体の知れないプラスチック”じゃない。もとは、ベランダで割れてしまった洗濯バサミの破片、お菓子の容器など、自分が生活で使っていたものかもしれない。まずは知ってもらいたいですね」

拾った海洋プラスチックゴミは、チャームに加工しビーチクリーンの参加者へプレゼント。チャームをきっかけに、海のことを思い出したり、話題にしたりするきっかけになればとの思いを込めます。

環境教育で出会った子どもたちに作ってもらう機会が多いチャーム。中には、手書きのメッセージが添えられたものも

「拾った海洋プラスチックゴミを、同じプラスチックの一種であるレジンで固めることは、アップサイクルの観点から見れば決して合格点ではありません。でもかわいいと思ってもらって、スマートフォンやお子さんのランドセルにつけてもらえたら、そこから話が広がるから」とゆいさん。

「『地球のために』『アップサイクルだから』ではなく、『かわいいから』『楽しいから』がきっかけになってもいいと思うんです」。

ビーチクリーンも海レジャー!環境問題を“自分サイズ”で考える「くらげれんごう」#2

語り部一覧

くらげれんごう 隊長 /
山崎唯さん
大阪府大阪市出身。幼少期、若狭湾に面する京都府舞鶴市で過ごすうちに、海に強く惹かれるように。2019年に、福岡県福津市で同じ海好きの仲間と共に海であそび・海でまなび・海をまもる団体「くらげれんごう」を立ち上げた。現在は「くらげれんごう」として、月に1回「日本一ハードルの低いビーチクリーン」を開催するほか、福岡県内の小学校で子どもたちへの環境教育にも取り組んでいる。

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