海
ビーチクリーンも海レジャー!環境問題を“自分サイズ”で考える「くらげれんごう」#2
※ 全2話の 2話目
自分サイズに置き換え、悪者を作らない考え方を伝える

定期的にビーチクリーンを開催していた「くらげれんごう」。取り組みについて知られるようになると、福岡県内を中心に、学校で環境教育を行う依頼が増えるようになりました。
学校で環境問題について学んだ子どもたちからは、「ポイ捨てをしている人がいたら注意する」「買い物にはマイバックを持っていく」という考えを発表してくれることが多くあるのだとか。
「正しい答えだけど、ポイ捨てをする人は自分で気が付かないとやめないし、小学生はそんなに頻繁に買い物に行かないし。だから、自分サイズのもっと簡単な方法を伝えるようにしています」。

例えば、海洋プラスチックゴミのなかでも、特によく見るのが人工芝の欠けら。学校でもよく使われていますが、めくってみるとちぎれてしまった小さな欠けらが落ちているものです。
「掃除のときにきちんとチリトリに集めて捨てずに、ちょっとだけだからって運動場に向かって掃いてしまった経験ってありませんか。私はあります(苦笑)。でも、その欠けらが、雨風によって川に流れ、海に辿り着いてゴミになる可能性もある。だから掃除はちゃんとしようね、とか」。
「くらげれんごう」独自の目線で行う環境教育は、大きな問題を自分サイズにすることでアクションにうつすことができる、そのハードルの低さが魅力なのです。

ハードルの低さ以外にも、「くらげれんごう」が大切にしていることがあります。それが、悪者を作らないことです。ニュースで海洋ゴミの話を聞くと、プラスチックを悪者と思いがちですが、「こんな便利な素材はないよ」とゆいさん。「悪者を作るんじゃなくて、どうすれば海洋ゴミにならないのかを考えたいんです」。
0か100かではなく、0から1の一歩目を作る

今後の「くらげれんごう」の目標を尋ねると、「ハードルが低い・楽しい・かわいいを入り口に、環境について考えていくことを広げたい。私たちの思いに共感してくれる人たちの力を借りて、一緒に動いて行けたらいいですね」。さらに、今後は環境問題に取り組む人・団体や自治体などとつながりを広げていくことにも力を入れたいのだとか。
「環境問題のアプローチ方法って、たくさんの選択肢があった方がいいんです。私たちは、その中で、“楽しさ”や“ハードルの低さ”を入り口にして意識改革や啓発を担う役割。でも、同じように環境問題について考える人たちとつながり、広がりができることで、自分たちだけではできないことにも、取り組めることがあると思うから」

「くらげれんごう」はあくまでも、きっかけづくりに徹しています。ビーチクリーンの参加者に、次に来ることをうながしたり、普段からゴミを拾うように伝えたりすることもせず、「知ってもらったら、その先は追いかけない」のが、「くらげれんごう」のモットーです。
「環境に対するアクションって難しく考えなくても、自分ができることはいっぱいあるんです。私も以前は、海洋プラスチック問題って大きくて深刻なことだと思っていました。子どものこと、生活のこと、自分のこと、考えないといけないことがたくさんあるのに、海洋プラスチック問題までは背負えない!って。100か0なら目をつむっちゃう。でも今は、0が1に、1が3にっていうのでもいいんじゃないかって考えるようになりましたね」と、ゆいさんはからりと笑います。
等身大で向き合うことで、生まれる小さなアクション。この小さな積み重ねこそ、大きな課題解決に必要な一歩なのだと、改めて気付かされたひとときでした。
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