自然によりそう暮らし
学生が挑戦・成長できるまち。糸島・前原に若者たちが惹かれるワケ #1
※ 全2話の 1話目
糸島市の中心部・前原エリアで、まちづくりに取り組むNPO法人ENGAWA Project。九州大学を2年前に卒業した松本崇人さんを中心に、学生たちがさまざまな活動を行っています。活動のきっかけは、松本さんが前原の居酒屋で経験したある出来事でした。いっときは、シャッター街となり元気をなくした商店街。そこに若者が惹かれ集まる理由、見出した希望を、松本さんに伺いました。
糸島・前原と学生をつないで、まちづくり
糸島市の中心に当たる前原エリア。江戸時代、小さな宿場町として栄えたまちです。今も、かつての面影を残す建物や昔ながらのお店が並んでいます。いっときは、シャッター街として閑散としていた時期もありましたが、近年はおしゃれなセレクトショップや飲食店なども登場。それに伴い、”おもしろい大人たち”が集まってきました。そんな前原エリアを「学生がチャレンジできるまちにしたい」と奮闘するのが、NPO法人ENGAWA Projectの松本崇人さんです。
「九州大学が中心の学生サークル『iTOP(アイトップ)』で、大学の4年間、まちづくりに取り組んでいました。iTOPは地域の農家と一緒に野菜販売所を設置・販売したり、子ども向けの化学教室を開催したりと、大学周辺の地域でさまざまな取り組みを行ってきました。NPO法人ENGAWA Projectは、このiTOPの活動のひとつ。卒業後は学習塾のスタッフとして働きながら、プロジェクトにかかわってきました」
その後、資金や運営の安定をはかり、より地域に大きな影響を与えられる活動ができるようになればとENGAWA Projectは2021年11月にNPO法人へ。松本さんが代表となって、新たなスタートを切りました。松本さんを中心に、九州大学の学生が活動。前原地区と学生をつなぐべく、さまざまな取り組みを行っています。
居酒屋で出会った社会というもの
「大学の講義で、人の考え方や幸福率は家庭環境によって大きく左右されることを知りました。それを聞いて、自分が幸せだと実感できている人を増やしたいという漠然とした思いを抱き始めました。とはいえ、家庭の中に他人が入っていくのは難しい。だからまちづくりを通じて、家族を取り巻く一歩外側の地域をよくしていこうと思ったんです」。
こうしてまちづくりを目的とした活動を行うiTOPへの参加を決めた松本さん。その後、大きな転機を与えてくれたのが前原のまちです。ある日、用がありたまたま前原へ訪れた松本さん。ふらりと入った居酒屋で、先客だった男性に「一緒に飲もう」と声をかけられました。
「おおぉっと(笑)。びっくりしたけど、そのあといろんな話をしました。僕は正直人見知りで、初対面の人と話すのは得意じゃない。でも、このまちには心を開かせるものがあるのかもって。それまで前原の印象はほとんどなくて。ぼくが通っていた福岡市西区にあるキャンパスの最寄駅からも離れていたし、飲みに行くなら前原より遠いけどお店がたくさんある天神に行く。だから、全然知らないまちだったんですけど。ここに学生がきたら、何かが起こるかもって思ったんです」。
キャンパスのなかにはない、リアルな社会や町でのコミュニケーションを初めて感じた経験。それは松本さんに衝撃を与えました。さらに前原の魅力は、「そこにいる大人たちにある」と松本さんは話します。
「世の中の先頭に立ってさまざまな取り組みをしてきた人、企業勤めでなくても個性的な生き方をしてきた人。さまざまな大人がいて、いろんな人の話を聞けるのがおもしろいんです。社会経験が少ない僕たちの取り組みは、ときに世間知らずで、ズレてしまっていることがあっても応援してくれる。間違っていたり、遠回りしていても『まぁ楽しみなさい』と見守ってくれるその寛容さがとてもありがたいです」。
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