糸島のとっておき！

糸島で暮らす語り部が教える、みんなに伝えたいお気に入りスポット

2025.10.29

糸島で暮らす個性豊かな人々が案内する、心温まる散歩道へようこそ。このコーナーでは、地元で活躍する人たちが、糸島の隠れた魅力を紹介します。

福岡県糸島市出身で、海産物卸問屋「山下商店」を営む山下浩典（やました・ひろのり）さん。糸島の豊かな海とともに生き、2018年には美しい海を守るプロジェクト「ToiToi（トワトワ）」を立ち上げました。

そんな山下さんの視点で巡る糸島は、ただの観光地ではなく、海と人がつながる場所。漁師や生産者の想いが詰まった食材、自然と共生する営み、そして海を未来へつなぐための取り組み——。海を愛し、守り、育てる山下さんならではの視点で、おすすめのスポットをご紹介します。

伊都菜彩

糸島の豊かな自然が育んだ新鮮な食材が集まる直売所「伊都菜彩」。地元の農家や漁師、作り手たちが丹精込めて作った野菜、果物、魚介類、加工品などが並び、訪れるたびに旬の味覚と出会える場所です。全国各地に産直市場はありますが、伊都菜彩の規模と売上はトップクラス。設立から十年以上が経ち、今や地域の人々の生活に溶け込むだけでなく、糸島市外からの来店客が7割以上を占めるほど、多くの人を惹きつける存在となっています。

山下商店のわかめやひじきなどの商品も、ここなら全種類が揃います。百貨店やスーパーにも卸していますが、すべての商品を手に取れるのは伊都菜彩だけ。豊富なラインナップの中から、お気に入りを選べるのも魅力です。

毎日多くの人で賑わうこの場所が、長年にわたって愛され続けているのは、ただ新鮮な食材が手に入るからではなく、生産者の熱意や地域の魅力が詰まっているからこそ。糸島を訪れたら、ぜひ立ち寄ってほしいスポットのひとつです。

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またいちの塩　製塩所「工房とったん」

伝統的な製法での塩づくりが行われる「工房とったん」。塩づくりの見学や、「またいちの塩」、「しおをかけてたべるプリン」（花塩プレーン、他）を購入できます

「またいちの塩」は、糸島が注目される前からこの地で塩づくりを続けてきました。今では塩だけでなく、飲食店やプリンなどの販売も手がけ、多くの人を惹きつける存在に。なかでも、海を望む製造所「工房とったん」の「しおをかけてたべるプリン」は、ここでしか味わえない逸品です。

そんな「またいちの塩」と山下商店が手を組み、誕生したのが「いとしお」。糸島と長崎の塩をブレンドし、昆布や梅の風味を加えた、海の恵みを凝縮した塩です。さらに、近年問題となっているムラサキウニの増加に対し、ウニの陸上養畜プロジェクトにも挑戦。食を通じて海の環境を守る取り組みを進めています。

「「またいちの塩」が特別なのは、流行に乗って後からできた店ではなく、糸島が知られていなかった時代からこの地に根付き、丁寧にものづくりを続けてきたこと。今も変わらず、素材と向き合い、誠実に塩づくりに励む姿勢には、同じ生産者として心からの敬意を感じます。」と山下さん。

塩づくりから広がる糸島の豊かさを、ここでぜひ感じてください。

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王丸農園

糸島の自然に囲まれた「王丸農園」は、伝統的な農業を守りながら、新しい挑戦を続ける農園です。山下さんも、「若い世代の農家が新しい売り方や挑戦を続けている姿勢が素晴らしい」と絶賛。特に、代表の谷口さんのチャレンジ精神には、学ぶべき点が多いと語ります。

王丸農園では、竹林整備を兼ねたタケノコ栽培や、田植え・稲刈り・野菜作りなど年間を通した農業体験を提供。訪れる人々に、食の大切さや自然の恵みを伝えています。

実は山下さんは、ToiToiの活動の中で王丸農園と一緒に、とてもユニークなイベントを開催しています。その名も「トワノワ」。
このイベントの魅力は、なんといっても“海と田んぼの融合”から生まれる食の体験です。王丸農園の田んぼで育ったおいしいお米を、その場で飯盒を使って炊き上げ、朝獲れの新鮮なウニを贅沢にのせて味わう——そんな特別なひとときを、焚き火を囲みながらみんなで楽しみます。田園の風景に包まれながら、糸島の自然と深くつながる、心に残る時間が流れていました。

四季折々の風景のなかで、土に触れ、自然の恵みを味わう体験ができる王丸農園。訪れるたびに、新しい発見があるはずです。都市部では味わえない、のどかで広がりのある景色のなかで、のんびりと過ごしてみませんか？