第13回:壊さず、活かす。みんなでつくる“循環する古民家”プロジェクト

こんにちは!糸島で「食べもの・お金・エネルギー」を自分たちでつくる“いとしまシェアハウス”の畠山千春です。

実は今、私たちは新しいチャレンジの真っ最中なのです。それは、古民家をリノベーションした新しい拠点づくり!舞台は糸島の里山のど真ん中にある古民家。みんなで手を動かしながら、廃棄されるものや間伐材を使ったDIYで再生していくプロジェクトです。

この家がいずれ“里山保全の拠点”になるように、この夏はずーっとリノベーション(以下、リノベ)をしていました。

古民家の片付けからスタート!

一番最初の仕事は、家の片付け。使えるものは綺麗に洗って再活用しますが、長年の使用で傷んだものや、我が家ではどうしても使いきれないものは解体していくことになりました。家具や荷物を庭に運び出すと、「ここで大切にされてきたんだろうなあ」というこの家の暮らしの歴史を感じます。だからこそ、ただ捨てるだけじゃなくて次の役割を与えたい。まだまだ使えるものは、リノベの材料に。小さな端材は薪ストーブの燃料に、それぞれ再活用していくことにしました。

ところが、いざ大きなタンスを解体してみると、外側は立派な木に見えるのに、中は空洞、まわりは薄い合板が貼られているものもありました。合板に含まれる接着剤やコーティング剤は、有毒ガスが出て健康に良くなかったり、煙突の内側にタールや煤(すす)が付着し薪ストーブを傷める原因となったりするため、燃やすことができず、再利用が難しい素材です。そうなると、残念ですがゴミに出すしかなくなってしまいます。

こういった視点から考えると、シンプルな素材だけで作る古い家は土壁の土や木材を再利用できることも多く、“壊して終わり”ではなく“循環するリノベ”ができます。再活用の観点から見ると、やはり自然素材っていいなあと改めて感じたのでした。

この日は軽トラックにいっぱいのゴミを出してリサイクルセンターへ。軽トラックいっぱいで2往復、1日で実に合計約380キロのゴミが出ました。1日だけでこれだけ出たので、全部のゴミの量を考えるとめまいがしそうです。

でも、燃料の薪もコンテナ7つ分できました!解体した端材は、よく乾燥していて燃えやすいので燃料は床暖房の燃料にしました。最後の最後に、家を温めてくれてありがとう。今までおつかれさまでした!

冬、古民家の“足元冷えすぎ問題”を解決せよ!

次なるテーマは「床下断熱DIY」。古民家暮らしの大敵、それは“底冷え”です。断熱・気密性能が低い家では、冬の室温が10度以下になることも。WHOが推奨する「健康に暮らせる室温」は18度、それ以下になると健康被害が出るリスクがあると言われています。

日本全国スマートウェルネス住宅調査の分析によると日本の家の平均リビング温度は約16.8℃。脱衣所にいたっては約13℃ほど。(※1)つまり「外で裸になるような環境」でお風呂に入っている、ということになります。そんな罰ゲームみたいな状況になっていたなんて、知りませんでした。

というわけで今回は、暖かく快適な家を作るべく床下に断熱材を入れる“床張り断熱DIY”に挑戦しました。断熱材を入れて外気を遮断し、さらに隙間を埋めて気密性を高めます。断熱と気密はセット、これが鉄則です。

※1 出典元:Umishio W, Ikaga T, Fujino Y, Ando S, Kubo T, Nakajima Y, et al.(2020)
「冬季の室内温度の格差:日本全国スマートウェルネス住宅調査の横断的分析」
Indoor Air, 30(6), 1317–1328.
https://doi.org/10.1111/ina.12708

早速床をはがしてみると、そこには……なんと数センチの隙間がありました!実はこれ、湿気がこもらないようにあえて隙間を空ける昔ながらの工法。とはいえ、そのままだと冷気がスーッと上がってきて、冬は地獄のような寒さになってしまいます。

そこで登場したのが「透湿防水シート」。外からの水を防ぎつつ、内側の湿気を逃がす優れものです。これを張った瞬間、床下からの冷気がピタリと止まって驚きました!その上に断熱材をぴったり敷き詰めていきます。

断熱材のカットは、1ミリの隙間も許さない繊細な作業で、なかなか神経を使います。苦労してカットした断熱材をはめ込み、気密テープでふさいで、準備完了!今までいろんな場所をリノベしたけれど、断熱と気密をしっかりやろうとすると、とーっても時間がかかります。今回も想定していた倍以上の時間がかかってしまいました。

いよいよフローリング張りへ!

いよいよ仕上げ。断熱材の上にフローリングを張っていきます。断熱を施した床を触ってみると、木の部分はキンキンに冷たいのに断熱材はほんのりあたたかい。断熱材を床全体に敷き詰めると、その差は一目瞭然でした。ただし、古民家は床の高さが違ったり、家が少し歪んでいたりして床張りも一筋縄ではいかずとても大変でした。

ちなみに、いとしまシェアハウスを断熱リノベしたときは、部屋の温度がなんと8度アップ!ストーブも2台から1台で済むようになりました。断熱DIY、見た目はほとんど変わらないのですが、暮らしの快適さを支える大切な土台になります。この家も快適な場所を目指したいので、たとえ時間がかかっても断熱・気密はしっかりやっていきたいと思います。

というわけで、ここまでの道のりだけで、まず1年かかりました!DIYリノベって本当に時間がかかりますよね〜……若い頃は体力も時間も有り余ってて無限にできる気がしたけれど、子どもがいて体力も落ちてくるとプロの方に頼む大切さもだんだんと分かってくるようになりました。笑

2階の小部屋が大変身!

さて、続いては2階にある小部屋のリノベーションに挑戦します。土壁にぐるりと囲まれたこの部屋、漆喰を塗ればぐっと明るくなって、きっと化ける予感がします。

まずは、壁以外に漆喰がつかないようにしっかり養生して、いよいよ漆喰塗りスタート。ところが、時は夏、ここは空調のない2階。動いていないのに汗が滝のように流れ出てサウナの中にいるようです。それでも、コテを動かし続けているうちに、どんどん無心になっていきます。茶色かった壁が真っ白に変わっていくのが気持ちよくて、まるで瞑想しているときのような気持ちに。暑すぎて、途中で庭に出て冷水を頭からかぶったら、これが最高に気持ちいい!まさに天然サウナ+水風呂体験でした。

短期滞在のゲストさんやインターン生も加わってくれて、なんとか無事に漆喰塗りが完了。「よし、あとは畳を入れれば完成!」……と思いきや、まさかのハプニング発生。畳が、1センチの誤差で入らない!!!汗だくで塗りきった後のこの展開。その瞬間、膝から崩れ落ちました……。DIYあるあるです。というわけで急遽、2階にも断熱床張りを施すことに。

本来なら畳を入れるだけだったのに、角材を組み、透湿防水シートを貼り、断熱材を敷き、床板を張るというフルコースに突入。スケジュールは大幅にずれてしまいましたが、ただの畳部屋よりずっと快適な空間になりました!

みんなで必死に作業を進め、インターン生たちもみるみるうちに成長!最初は工具の使い方も知らなかった子たちが、今では自分で床板を貼れるまでになりました。みんながめきめき成長する姿に、こちらもたくさんパワーをもらっています。いつも本当にありがとう!!!

こうして少しずつ進んでいく“古民家再生プロジェクト”。壊すだけではなく、活かしながら再生することを意識しながら、一緒に手を動かし学ぶ時間を大切にしています。まだまだ道のりは長いけれど、この家が、人と自然がつながる場所、そして「暮らしをつくる人たち」が集う拠点になっていくように、一歩ずつ進めていきたいと思います。

これからしばらくはリノベを頑張る予定ですので、応援してくださると嬉しいですー!
記事への感想もお待ちしております!


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いとしまシェアハウス /
畠山千春さん・志田 浩一さん
いとしまシェアハウスは、「食べ物・お金・エネルギーを自分たちでつくる」をコンセプトにした、自然とつながるシェアハウスです。棚田に囲まれた集落の中で、田んぼや畑・猟を行い、築80年の古民家を改修しながら、様々な個性を持つ男女が共に暮らしています。
ここでは、体験したこと、つくり出したものをたくさんの人たちと“シェア”する暮らしの実験を行っています。

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