自然によりそう暮らし
アロマの工房から広がった支援の輪。店主・阪井さんが作る力強い女性コミュニティ #2
※ 全2話の 2話目
困っている人を無視できない
県内外から多くの人が訪れる香の宮。ですが、彼女が力を入れているのは、仕事ばかりではありません。阪井さんを語るのに外せないのが「糸島しましまプロジェクト」の取り組みです。
はじまりは、香の宮立ち上げと同じ2011年。きっかけは、東日本大震災です。当時の阪井さんは第二子の出産を終えたばかり。「被災地の様子を知りながらも、何もできない自分が歯痒かった」と顔を歪めます。子育てと工房の両立でバタバタとすぎる日常でしたが、近くにある畑にいつも捨てられていた規格外野菜を見て、思いました。
「クワでちょっと傷がついたり、大き過ぎたりするだけで、ちゃんと食べられるのにもったいない。そこで被災地の方々に、規格外だけどおいしいお野菜を無償でお届けしようと思ったのです」。
こうしてはじまったのが、「糸島しましまプロジェクト」です。糸島の新鮮な野菜を被災地に届ける取り組みは、その後10年続き、その回数は400回ほどになります。
「福島に知り合いがいるわけじゃない。でも、大変な思いをしている人がいるのに無視はできないですよね」。
糸島しましまプロジェクトは2020年に一般社団法人に。福島の支援は不定期で続けながら、取り組みの中心を地元・糸島の子育て支援にシフトしました。
「女性や子どもが貧困や孤立・孤独になることを防ぐために、毎週土曜に”寺子屋しましま”をオープンしています。特にコロナ禍で、コミュニケーションが取りづらくなり、塞ぎがちになってしまった親子は多い。辛いときには辛いと声に出し、肩の力を抜いてほっとできる場所を作りたいと考えました」。
寺子屋しましまのコンセプトは「子どもたちの生きていく力」を育てること。食・農・学の三本柱に力を入れています。糸島にキャンパスがある九州大学の学生たちが、学習をサポート。食事は、グリーンコープ生活協同組合ふくおかの後援を得てほぼオーガニックの材料で提供し、畑では子どもたちと一緒に無農薬で野菜を育てています。
「大学生が子どもたちの勉強を見たり、遊び相手になってくれます。その間、お母さんボランティアの皆さんは、食器を洗ったり、畑の整備をしたり…。雑務のように思うかもしれませんが、普段子育てに追われているお母さんたちにとっては、ほっと息がつける貴重な時間のようで、喜ばれていますよ」。
そう阪井さんは教えてくれました。
仕事もボランティアも、どちらも欲張る
「この場所で培ったノウハウをもとに、交通が不便な場所で同じような取り組みをしたい方のビジネスモデルになりたいと思っています。自然災害はどこでも起こる可能性はあるし、どこで起こっても母子がいるはず。いざどこかで災害が起きた時、一緒に動けるようなチームができたらうれしい。それに、子どもたちも物資配給の列に並ぶだけの人になってほしくないんです」
被災地、そして地元の子どもたちやお母さんへと、阪井さんから広がる癒しの輪は少しずつ大きくなっています。仕事とボランティア、さらに子育てと大変ではと尋ねると、「二兎を追うものは一兎も得ずってことわざがあるでしょ。でも私は、二兎を追って三兎を得たい。ひとつじゃ退屈だから」と力強い答えが返ってきました。
今年は新たに、みんなが気軽に土にふれたり作物を育てる楽しみを感じてもらえるよう、小さな区画からトライできる自然栽培の市民農園も始めました。自分がイキイキと活動できる場所を作ると同時に、仲間と手を取り合って地域づくりに取り組む阪井さん。そのキラキラと輝く笑顔は、これからも多くの人を救っていくことでしょう。
mocomococさん
今日、体験しました!お香の香りが部屋いっぱいに広がり、ひとたび廊下に出て戻ると、香りに気づかされます。お香の材料となる粉が貴重な、質の高いものだそうで、その話を聞きながら体験を進めることができたのがよかったです。家族と協力しあい、たくさん笑って過ごすことができました。
三ツ矢青空たすきスタッフ
お香を焚く場所や焚いた後も場所によって少し香りの感じ方が違うのも楽しいですよね。ご家族との笑顔の時間になったことも光栄です!