海底湧水から山と海の循環を知る、「ノドカフェ」坂本さんの試み #2

自然がめぐる糸島だからこそ

海底湧水を煮沸することで塩が完成する。満月の日と新月の日で瓶を分けて保存している。

強美さんが塩作りを続けていくうちに、意識は自然環境へと向かっていきます。

「森が荒れてしまうと有機物が土に染み込まなくなり、湧水の質も低下してしまいます。山をほったらかさずに、木を切って山を整える。それでふかふかの土ができ、草が生えて生物が生まれる。そうして、質のいい湧水も生まれます。自然の循環は、私たちが本当に大切にしなくてはいけないものだと、塩づくりを通じて実感しました。山と海は、つながっているんですね」。

普段から、畑で土作りをしたり、自然農の畑へ行ったり、山に入って皮むき間伐を手伝ったりするという強美さん。講演を聞いても、自分は何もできないちっぽけな存在だったと思っていたのが、海底湧水のことを知り、変わりました。自然の循環を側で見られていることに小さな幸せを感じるようになったのだそう。「海や山など自然が豊かな糸島にいる理由のひとつがこれだと、確信めいたものを感じた」と言います。

カフェでリラックスして考える社会課題

海底湧水を汲み取る前には、浜辺のゴミ拾いをするのがいつものルーティン

この活動の意義を少しでもたくさんの人に伝えたいと思い、ノドカフェでは海底湧水を汲むワークショップも行っています。

「ワークショップの際に、必ず自然の循環のお話もするようにしています。そうすることで、共感した人とまたつながりが生まれ、広がっていく。それがすごくうれしい。糸島の海を、ただの観光スポットとして訪れるだけでじゃなく、少し違った視点で見て、何か感じてくれる人が増えたらいいなと願っています」。

強美さんの活動は、「私の活動は自然の循環の小さな一部に過ぎない」とおっしゃいますが、それが徐々に広がっていくことで、大きな輪になろうとしています。糸島の自然を守り、自分で作ることの体験を子どもたちに知ってもらうため、カフェという場作りやコミュニティづくり、体験活動は続いていきます。

語り部一覧

ノドカフェ /
坂本強美さん
足の裏への強い興味からリフレクソロジストの道へ。2015年に結婚を機に糸島に移住。2017年に夫の敏幸さんと「ノドカフェ」をオープン。店名の由来は、娘の名前(のどかちゃん)から。現在はカフェでリフレクソロジーを施しながら、海底湧水などの活動を行っている。

体験一覧

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